色覚
色覚(Colorvision)とは、可視光線(約400~800nm)の中で色を感じる機能であり、錐体が明るいところ、しかも視野の中心部で見るときに最良の機能を示します。 (1nmは、10億分の1m)1種類の視細胞では色を見ることはできないため、色としてみるには少なくても2種類の視細胞が必要になります。
ヒトには3種類の赤錐体、緑錐体、青錐体があり、それぞれ426、530、557nmの光に最も良い感度を示します。ただし、原色の色に因んで名付けられていますが、 それぞれの波長の光は、紫、緑、黄緑として感じられます。しかし、本来、光には色があるわけではなく、色が付いて見えるのは、ヒトの網膜から大脳に渡って、光を色に認識する仕組みがあるからです。
例えば、プリズムで分けられた虹の七色は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫に見えますが、これはそう思って見るからそのように見えるので、文化的背景の違う民族では、六色にも四色にも見えると言われています。
色覚特性(カラーブラインド)の分類
(日本語マニュアル製作に多大なるご協力をいただきました秋山氏と共にカラーブラインドという表現を考案しましたので、今後は学術上以外はこの表現を併記することがあります)
■ 先天性色覚特性
一般に色覚特性は先天性のため進行しないと言われています。先天性は、全色盲、青黄色覚特性、赤緑色覚特性に分けられますが、大部分は赤緑色覚特性になります。
※異常3色型色覚:赤、緑、青の要素のうち、いずれか1つの感覚が鈍い場合を、それぞれ第1(赤)色弱、第2(緑)色弱、第3(青)色弱といいます。
※2色型色覚:赤、緑、青の要素のうち、いずれか1つの要素が欠損している場合を、それぞれ第1(赤)色盲、第2(緑)色盲、第3(青)色盲といいますが、青の色盲はまれです。
赤緑のカラーブラインドの遺伝形式はX染色体劣性遺伝です。女性はX染色体が2個あるため、両方に遺伝子を持つと症状が発現しますが、1つの場合は保因者となります。男性はX染色体が1つしかないため、遺伝子を持っていると症状が発現します。
そのため、先天性は男子に多く(4%くらい)、女子に少なく(0,4%くらい)なっています。(日本の場合)ただし、その発現比率は人種や地域により異なります。
■ 後天性色覚特性
進行性錐体ジストロフィーなど種々の黄斑部疾患があります。
人種・民族による色覚の発達の違い
- 暖色系(ラテン系)と寒色系(北欧系)
- 人間は赤道に近くにつれて、太陽光線の強さで赤、橙、黄の赤色視覚が発達し、 網膜の中心窩に強烈な色素形成が見られます。
- 逆に北南両極に近づくにつれて、太陽光線は弱くなり、高緯度地方では特有の白夜の影響で、短波長(紫、青、緑)によく反応する緑色視覚が発達し、 彼らの網膜には色々異なった色素形成が見られます。
カラーブラインドの割合
- フィジー:0.9% ナバホ・インディアン(アメリカ):1.1% コンゴ:1.7%
- カナダ:11.2% ノルーウェー:10,1% ポーランド:10.7% 旧チェコスロバキア:10.5%
日常生活で不便な事例
- 道路の信号が見分けにくいため、並び順で覚えている
- 夜間の車の運転時に信号と水銀灯が区別しづらい
- 車のテールランプが見にくい
- 晴れか曇りか天気がわかりづらい
- コーヒー牛乳と野菜ジュースを間違えやすい
- 焼肉のときに焼けている肉と生の肉を間違えやすい
- 緑のペンと赤のペンを間違えやすい
- 左右色の違う靴下をはいても気付かないことがある
- ゴルフで芝生の上のマーカーが見にくいことがある
- 麻雀で赤い文字が黒に見えてしまう
- 紅葉が緑にしか見えない
- 洋服を選ぶときに、奇抜な色にしたことがある
- テレビの色の調整ができない
- ピンクを水色と間違えることがある
- 緑の中の赤い花が見つけづらい
- 乳児の緑便がわかりにくい
- 人の顔色の変化がわかりにくい
- 車の色を遠くから見ると間違えることがある
- 非常口のランプが火事の煙の中では、かえって見にくい
※これらのことはすべてのカラーブラインドの方に、当てはまるわけではありません。 あくまでも参考の事例です。